2012.5.18
写真家の須磨 謙氏が1990年代半ばにオーストラリアで撮影した、「テントボクシング」のドキュメントをまとめた写真集をCapでデザイン制作しました。
迫力ある写真を文筆家・佐伯 誠氏によるエッセイや、「テントボクシング」の当時の資料などもあわせて大判サイズで構成しています。
「テントボクシング」とは、サーカスのように、ボクサーを引き連れた一座が
テントとともに町や村を周り、現地で対戦相手を募って試合を行う興行イベントで、
1960年代頃までオーストラリアで盛んに行われていました。今回、被写体となった
一座が、オーストラリアで最後のテントボクシング一座だったと言われています。
人と人との関わり方を考えたとき、主体的に関わることよりも”相手を尊重すること”、
また、濃密であることよりも”適度な距離を持つこと”が大事にされる現代。
テントボクシングのような、対価を求めない体と体のぶつかり合いは、特別な輝きを
放ちます。野蛮さのなかに潜む人の温かさが、ノスタルジックな風情にのって
立ち現れる写真たち。この機会に、ぜひお楽しみください。
また、写真集の発行を記念した写真展を、「トーキョーカルチャート by ビームス」と「ROCKET」の2会場にて開催しました。